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畳の話

畳の話

日本古来の床材のひとつである、畳。
畳敷きの部屋はどんどん少なくなっている印象もありますが、近頃は保育園や幼稚園に導入されていたり、
置き畳が流行しているなど、各方面であらためて注目されているようです。
なぜなのでしょう? 今回はその秘密を探りに、畳生産量日本一の地、熊本へ。
畳生産に携わる方々にお話を伺ってきました。
畳にまつわるくらしのヒントや、長く付き合うためのお手入れのコツもお伝えします。
畳は「い草」で作られる

畳は「い草」という植物からつくられています。苗の育成から収穫までにかかる期間は土づくりから含めると、なんと約2年。ナタネやイネなどとの輪作により、い草栽培に良好な土が作られます。そこへ株分けした苗を植え付けるのが11月下旬~12月。春には新しい芽を伸ばすための“先刈り”、梅雨時には伸びたい草が倒れないようにする“網かけ”などを経て、6月下旬~7月中旬の暑い時期に収穫します。150〜160cmほどに育った、青々とした「い草」が刈り取られると、畳表づくりが始まります。

畳ができるまで
  • 1 泥染め、乾燥

    1 泥染め、乾燥

    い草を刈り取ったら、その日のうちに、い草独特の色、香り、光沢を出すために天然の染土(粘土質の土)による泥染めを行い、乾燥機でじっくり、16時間程度乾燥させます。

  • 2 製織

    2 製織

    乾燥した い草を、長さや傷の有無、太さによって選別。織り機で畳表(たたみおもて)へと織り上げます。1枚を仕上げるのに約1時間半かかります。ここまでが い草農家の仕事。

  • 3 表張り付け、仕上げ

    3 表張り付け、仕上げ

    織り上がった畳表は、畳職人のもとへ。畳床(たたみどこ)と呼ばれる台に張り、ふちを覆うヘリ付けがほどこされます。角や裏も糸で固定し、畳表を丁寧に拭いて完成です。

い草の「畳」はくらしの環境を整える い草の「畳」はくらしの環境を整える

高温多湿な日本の風土にぴったりな、い草の「畳」。近年では、科学的にもその利点が解明されています。

部屋の空気をキレイに、心地よく
畳の素材・い草には、ホルムアルデヒドなどの有害な化学物質や二酸化窒素などを吸着し、部屋の空気を浄化する力があります。また、ジメジメした時季には湿気を吸い、空気が乾燥すると放出する自然の調湿作用も。さらに断熱性もあわせ持ち、夏はサラッと涼しく冬はほのかに暖かい足元に。い草の畳の上は四季を通して居心地がいいため、“天然のエアコン”と呼ばれることもあるほどです。
子育てにもぴったりなやさしさ
天然素材を織りあげた、い草の畳。その適度なクッション性は、靴下や素足で過ごすのはもちろん、じかに座ったり寝そべったりしながらくらす生活スタイルにぴったりです。畳には吸音性があり、子どもがドタバタ遊んでも音が響きにくいのも嬉しいポイント。フローリングと比べて転んだときに怪我をしにくいこともあり、近年は幼児施設や児童館の一角に導入されるケースが増えています。
色と香りには集中力の持続効果も
い草の香り成分の中には、“森の香り”とも言われるフィトンチッドや、バニラの香りの主要成分でもあるバニリンが含まれています。また、い草の自然な黄緑色、経年変化でゆっくりと色づくあめ色は、人に安心感をもたらす色合いと言われています。近年では、福岡県の学習塾で行われた小中学生対象の実験(※)により、畳敷きの部屋では学習時の集中力が持続し、疲れにくいことも判明しました。
※2007年調査:中学1年生、小学5年生260名(男157名、女103名)を対象とする調査(日本家政学会誌60巻4号(2009)掲載)。畳教室には新品の畳を敷き詰めて靴を脱ぎ、フローリング教室は靴のままで入室。ともに机と椅子を設置。それぞれ30分間かんたんな計算問題を解き続けたところ、回答数が畳教室の場合のほうが14.4%多く、正解率は変わらないという結果に。
畳の効果をつくる、い草のスポンジ構造 畳の効果をつくる、い草のスポンジ構造

い草の断面を拡大すると、多孔質のスポンジ状になっていることが分かります。このスポンジ構造を持つ植物は、吸着性の高さが特徴。多湿時には湿気を吸い、低湿時には湿気を吐き、またホルムアルデヒドなどのさまざまな有害物質を吸着する働きがあります。このスポンジ構造が潰れたら畳表のかえし時。使用状況によりますが、おおまかに言って畳の表替えのタイミングは5〜10年と言われています。

畳に使われた、い草の断面写真(経年変化)
新品→約5年後→約10年後→約20年後 新品→約5年後→約10年後→約20年後

出典:イグサのすべて 森田 洋 著、新芽出版(2008)

「い草は、今改めて注目したい農作物です」 北九州市立大学 国際環境工学部 環境生命工学科 教授 森田 洋 先生 「い草は、今改めて注目したい農作物です」 北九州市立大学 国際環境工学部 環境生命工学科 教授 森田 洋 先生
い草の畳が日本で用いられ始めたのは、はるか昔の奈良時代から。身分の高い人が使う座具や寝具でした。床全体に敷かれるようになったのは室町時代から安土桃山時代にかけてで、一般庶民にまで畳が普及したのは、江戸時代の後期です。薬草としての歴史も長く、1100年前の古い書物にもその薬効が記されているほか、発熱や夜泣きにいいといった江戸時代の文献もあります。私の研究でも、粉末にした青汁や、い草のお茶など、織物材料だけではなく食用としても注目。い草の食品にはデトックス効果があるんですよ。
日本人の畳離れが進み、日本の い草の生産量は1970年代をピークに減り続けています。そのため、い草の良い香りを知らないで育つ子どもも増えているようです。多孔質のスポンジ構造に由来する国産い草の性質は、気密性が高くハウスダストや有害物質がこもりがちな現代の家屋にも最適です。置き畳や寝ゴザなど手軽な製品もあるので、上手にくらしに取り入れてみることをオススメします。日本の伝統産業を守ることにもつながりますよ。
形も素材もさまざま、多様化する畳
従来の畳に加え、インテリアにマッチするような、フローリングに置く畳、ラグや寝具としての畳などバリエーション豊か。素材には国産い草、外国産い草、また、い草以外にプラスチック製や和紙に撥水加工をほどこしたものなどもあります。一見同じように見えますが、特徴や性能はそれぞれ。畳製品を購入する際には素材や用途をよく確認しましょう。
ささっとお手入れできる、それも「畳」の魅力 ささっとお手入れできる、それも「畳」の魅力

畳はお手入れが難しそう…と思っていませんか?
じつは、畳の手入れは意外とカンタン。
長く付き合うための、畳のお手入れのコツをお伝えします。

  • 畳に家具の跡がついてしまったら「アイロン」

    畳に家具の跡がついてしまったら「アイロン」

    椅子や机などを置いていたところがへこんで、畳に跡がつくことがあります。そんなときはタオルの上から熱したスチームアイロンをかけてみてください(い草の畳の場合)。ただし、畳表が青いうちは変色の原因になるので控えましょう。

  • コーヒーやお醤油などをこぼしてしまったら「塩」

    コーヒーやお醤油などをこぼしてしまったら「塩」

    コーヒーやお醤油などシミになりそうな濃い液体をこぼしたときは、なるべく早く拭き取ります。次に塩を振りかけて置き、湿ってきたら畳の目に沿ってハブラシでこすります。最後にそうじ機で塩を吸い、乾いた布でから拭きを。

  • ふだんのお手入れは「クイックルワイパー ドライシート」

    ふだんのお手入れは「クイックルワイパー ドライシート」

    畳の目に沿ったそうじ機がけや、から拭きなどでドライな状態で汚れを取り除くのがふだんのお手入れの基本。髪の毛、ホコリ、ハウスダストなどは「クイックルワイパー 立体吸着ドライシート」でキャッチしましょう。

クイックルワイパー [道具本体]
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クイックルワイパー 立体吸着ドライシート [20枚入]
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「い草の畳は、生きている」 「い草の畳は、生きている」
湿度を整える、空気を浄化する。天然素材ならではの機能を活かした畳は、日本の気候風土に適した床材。その歴史は1300年以上だとか。良質な い草の畳は、ふだんのお手入れを重ねていくうちに美しい艶を帯び、使うほどにその表情を深めていきます。くらしを豊かにしてくれる畳の魅力を、今あらためて感じてみませんか。 湿度を整える、空気を浄化する。天然素材ならではの機能を活かした畳は、日本の気候風土に適した床材。その歴史は1300年以上だとか。良質な い草の畳は、ふだんのお手入れを重ねていくうちに美しい艶を帯び、使うほどにその表情を深めていきます。くらしを豊かにしてくれる畳の魅力を、今あらためて感じてみませんか。
Special Thanks! ご協力いただいたみなさま
今回は、い草畳の生産量日本一を誇る、熊本県を訪れました。九州で い草が栽培され始めたのは500年ほど前から。い草の生産地として有名な八代(やつしろ)は、江戸時代に大規模な干拓が行われた土地。豊富な水資源や、い草栽培に適した気温変化、日照時間を活かし畳産業が発展したのだそうです。より良い畳づくりの情熱と技術は、現代にも受け継がれています。
  • ファミリーファームOKA 岡 初義さんご一家

    ファミリーファームOKA 岡 初義さんご一家

    熊本県八代市で200年続く農家。い草農家としては4代目となる現在、農業試験場の新品種育成などにも協力しながら、家族で力を合わせ、最高品質の畳表をつくる。

  • 熊本県畳工業組合 理事長 倉嵜 勝也さん

    熊本県畳工業組合 理事長 倉嵜 勝也さん

    明治20年から続く畳店の4代目。熊本城築城400年の本丸御殿大広間復元工事では畳職人をまとめ、製畳、敷き込みも行った。一般家庭で需要の伸びる置き畳にも精通。

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2019年7月掲載

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